多焦点眼内レンズ「Vivity(ヴィヴィティ)」を徹底解説!
2025年5月27日

白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入して視力を回復させるという手術方法です。近年は多焦点眼内レンズによって遠近両方が見える選択肢が広がりました。その中でも注目を集めているのが Alcon社の「Vivity(ヴィヴィティ)」。
この記事では、日本で最も早くヴィヴィティを執刀した私の経験をもとに、ヴィヴィティの特徴とメリットをわかりやすく解説いたします。
Vivityとは?
- 名称:Clareon Vivity(ヴィヴィティ)
- 種類:国内承認の多焦点眼内レンズ(選定療養)
- 発売:2024年6月に日本で全国発売(私はいち早く、3月から使用を開始しました)
- 分類:焦点深度拡張型(EDOF)
Vivityの特徴
Vivityの特徴として大きく4つありますので、その4つを解説いたします。
①コントラスト感度の低下がほぼゼロ!
多焦点眼内レンズのイメージは「見え方の質が悪くて、コントラスト感度が低下するから、霞んで見えてしまう」などの悪いイメージがまだまだあり、実際に眼科に行っても、眼科の先生にそのように言われてしまい、多焦点眼内レンズをやめてしまう方も未だにいらっしゃるのが現状です。
しかし、このVIVITYは違います!
コントラスト感度に関して、私の患者さんのデータを見ても、コントラスト感度の低下はなく、ほんとんどの方が正常範囲内の結果になっております。また、自覚的にも気にならないという方が圧倒的に多くいらっしゃいます。単焦点眼内レンズと比較しても差がなかったという結果になるぐらい良好な結果になります。
②ハロー・グレアが極めて少ない
多焦点眼内レンズ特有の夜間の眩しさである、ハロー・グレアなどの異常光視症がほとんどないレンズになります。
先ほどのコントラス感度と同様に、ハロー・グレアがあるから多焦点眼内レンズを諦めてしまう方も結構多くいらっしゃいました。このレンズが発売されてから、Vivityを選択する方が非常に多いと感じています。私たち眼科医が思っている以上に、患者さんにはこのハロー・グレアというデメリットは気になるポイントだったことがわかります。
実際にVivityを選択した患者さんの術後のデータを見ても、やはりハロー・グレアを自覚しない方がほとんどで、日中も夜間も眩しいというデメリットがなく、快適な生活を送っていただけております。
③翌日から良好視力を実感
Vivityは多焦点眼内レンズではありますが、その構造が特徴的であるため、単焦点眼内レンズ同様の見え方で質が高いことがポイントになります。脳の適応も他の多焦点眼内レンズよりも早いため、手術をした翌日から視力が良好なところもポイントになります。
やはり従来の多焦点眼内レンズですと、レンズ構造が複雑で、脳がレンズに適応するのに時間がかかることもあり、視力が安定するまでに1週間、長い場合は1ヶ月ぐらいかかることもあります。しかし、Vivityはレンズ構造がシンプルであり、脳の適応も早く、翌日から良好な視力を得られる方が大変多くいらっしゃいます。
翌日からよく見える生活を送ることができるため、患者さんからもそのメリットに関して喜びの声をよく頂いております。
④適応範囲が拡大
今までの多焦点眼内レンズでは「お勧めできません」と言われてしまう、多焦点眼内レンズの不適応症例の方もいらっしゃいました。
例えば、性格的に神経質で心配性な方だったり、白内障以外に網膜の病気や緑内障などがある方、などは従来の多焦点眼内レンズでは「適応にならないですよ」と言われてしまう場合もありました。
そのような方でも、このVivityは多焦点眼内レンズ特有のデメリットが軽減され、単焦点同様の質の高い見え方が期待できるため、適応になる可能性が高くなります。従来諦めてしまっていた方も、諦めずに多焦点眼内レンズを選択できる可能性が出てきますので、よりたくさんの患者さんに選択していただけるレンズになります。
まとめ
項目 | 単焦点 | 従来の多焦点 | Vivity |
コントラスト感度 | 良好 | 低下しやすい | 単焦点並みに良好 |
ハロー・グレア | なし | 起こりやすい | ほぼなし |
適応症例 | 広い | 限定的 | 広い |